任天堂は『ニュー・ポケモンスナップ』の中国リリースにより、画期的なマイルストーンを達成。今作が同シリーズ初の公式中国ローンチとなった背景と、全国のゲーマーにとっての意義を解説。
ついに中国上陸を果たした『ニュー・ポケモンスナップ』
中国におけるポケモン史の重大な一歩
7月16日、中国ゲーム史に刻まれる瞬間が訪れた。2000年に課された家庭用ゲーム機禁令(2015年撤廃)以来、初めて正式流通するポケモンタイトルとして『ニュー・ポケモンスナップ』が登場。2021年4月に全世界で発売されたこの写真アドベンチャーは、21年ぶりに中国市場に新たな道を切り開いた。この分水嶺的な出来事は、長年制限されてきた中国ゲーマー待望の任天堂正式参入を象徴している。
2019年にテンセントと提携してSwitchの販売を開始して以降、任天堂は巨大な中国市場への本格進出を推進。『ニュー・ポケモンスナップ』の到来は、この重要市場攻略戦略における決定的な勝利だ。本年を通じて複数のプレミアムタイトルを中国で展開する計画も進行中である。
任天堂の中国向けリリースラインアップ
ポケモンの記念すべきデビューに続き、任天堂は中国ゲーマー向けに以下の豪華ラインアップを準備:
- スーパーマリオ 3Dワールド + フューリーワールド
- ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ・イーブイ
- ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
- イモータルズ:フィニクス ライジング
- Above Qimen(奇門より上)
- サムライスピリッツ
この多様な選定は、クラシックIPと新規体験の両輪で中国競争激化市場への足場固めを図る任天堂の戦略を反映している。
非公式ながら根付いたポケモンの中国史
今回の正式リリースには興味深い矛盾が潜む。公式未発売にも関わらず、中国では輸入版や海賊版を駆使した熱心なファン文化が育まれていた。6月には衣類に隠してSwitchゲーム350本を密輸しようとした女性が摘発される事件も発生。正式流通開始前の異常な需要を物語る事例だ。
任天堂は2000年代前半、猖獗を極めた海賊版対策として、NINTENDO64技術をコントローラー型デバイスに集約した「神游機(iQue Player)」で中国市場への迂回参入を試みた実績がある。
ゲームコミュニティでは、世界最大級の市場で公式展開なしに世界的ブームを達成したポケモンの稀有な事例が注目されてきた。任天堂の現戦略は中国市場における正当な地位確立へのかじ切りを示しており、同地域での急成長が期待される。
任天堂看板IPの中国漸進的再導入は、メーカーと中国ユーザー双方にとって革新的な新章だ。苦戦の末実現した公式リリースを祝福する声と共に、中国本土における任天堂の未来は明るい展望に開けている。